扇森稲荷神社は、こうとうさまと呼ばれています。
その由縁を紐解いていきます。
こうとうとは?
この地に、岡藩藩士が白狐の頭を埋めて以来、狐頭原(こうとうばる)と呼ばれるようになり、現在は、狐頭様(こうとうさま)と通称されているというのが、一般的によく知られています。
過去の文献では、扇森狐頭稲荷(おうぎもりこうとういなり)と記されたものもあります。
しかし
実は、こうとうさまの漢字は、この「狐頭」という狐(きつね)と頭(あたま)の字で、書かれているものだけではありません。
別の漢字で記された「こうとう」が、多数存在しています。
石造拝田原狐等本地沸
そのうちの一つは、国指定重要文化財である愛染堂(あいぜんどう)に、あります。
扇森稲荷神社の本地仏とされている「石造拝田原狐等本地沸(せきぞうはいたばるこうとうほんちぶつ)」です。
こちらの「こうとう」は、「狐等」の字で、記されています。
愛染堂は、1635年に建立された豊肥地域(竹田市や豊後大野市)で、最も古い建物です。
また、本地仏とは、この世を救済しようとする神様が、形を表したもの。
高さ21センチ幅19.5センチの凝灰岩には、蓮座に立つ聖観音様と、その下に2匹の狐が確認することができます。
古い新聞記事
扇森幸藤神社
こちらの石碑には、扇森幸藤神社と「幸藤」の字で「こうとう」が、記されています。
大正十二年(1923年)十月十三日の日付が確認することができる石碑です。
2014年に、別府在住の方が返還しました。
よって、大正十二年頃の「こうとう」は、「幸藤」の字が使われていたと言える面があります。
みんなに親しまれ、敬愛されてきた「こうとうさま」
言い伝えでは、はるか昔から、こうとうさまと呼ばれていたと言われています。
その点、この音は、永年伝わってきたことに間違いはありません。
また、地元や近隣住民の方々からは、正式名称の扇森稲荷神社よりも「こうとうさま」と呼ぶ方が多いです。
その点、しっかりと民間伝承、口承伝聞の中で根付いてきたことは、揺るぎないものがあります。